苦い文学

未来における疑念

未来の世界に紛れ込んだ私は、過去に戻るための方法を探す旅を続けていた。

不思議な色の森林を越え、黄金に輝く川を渡り、夢のような霞に覆われた山の麓で、私は一人の男と出会った。

その男は虹のような衣服をまとい、私を見つけると手招きした。

「このような山奥に珍客とは。理由を聞きたいものだ」

私は自分が過去からやってきたこと、そして再び過去に帰るために旅をしていることを告げた。

男は柔和な微笑みを浮かべた。「君はついに見つけたな。私が君の望みを叶えてやろう。ついてきたまえ」

男は私をいざない、先を歩きはじめた。私は歓喜に声を震わせ、男の背に声をかけた。「ああ、本当にあったのですね、過去に戻るテクノロジーが。この世界を彷徨ってようやく出会うことができました」

先を歩く男は振り返らずに話した。「君は幸運だぞ。この世界で私ほど進んだテクノロジーを所有しているものはいないのだから。私に……」

男が急に屈んだ。私は危うく追突しそうになった。見れば、ほどけた靴の紐を結んでいるのだった。

男は再び歩き出した。「……かかれば不可能など存在しないのだ。この世界の諸力を自在に……」

男は再び屈んだ。また靴紐が解けたのだ。結び直すと、男はまた歩き出した。

「……操れるのは、私しかいない。そもそも、ここ一万年の間、人類は……」

彼はいまいましげに舌打ちし、歩みをやめて、靴紐を結び出した。

男は再び前を歩きはじめた。相変わらずしきりに喋々していた。私は無言で踵を返すと、大急ぎでもと来た道を辿った。

最高のテクノロジーを有するというのに、靴紐が簡単にほどけるのも解決できないとは。これはもうこの男に疑念を持つのに十分だった。

いや、それとも、人類にとって靴紐は永遠にほどけ続けるさだめなのだろうか?