苦い文学

ガチャライフ

我々は大きなホールに閉じ込められた。

そのホールには人数分のベッドがあって、まるであのイカゲームのような具合なのだ。

ただ、イカゲームと違うのは、ホールの真ん中にガチャガチャが置かれていることだ。

我々は不安な表情のまま、自分の名前の記された寝台を探し出す。

すると、枕の上に3枚のコインとペットボトルの水があった。

好奇心の強い男がさっそくガチャガチャを試してみた。カプセルが軽い音を立てて落ちた。開けると、中にはビスケットが4枚入っている。

一口かじる。男は微妙な顔つきをした。

その後、3つのことが判明した。ひとつ、このガチャガチャからは必ず何か食べ物が出てくる。ふたつ、その食べ物はビスケットや、小さなパンや、おにぎりや、海苔巻きだが、少ないうえ、たいしておいしくない。そして、みっつ、このホールにはそれ以外食べ物はない。

こんな状態のまま数日経った。ベッドには仕掛けがあって、朝になると3枚のコインとペットボトルが、枕元に放り出された。はじめのうちはそれで起こされていた我々も、いまや待ち受けるようになった。空腹はもはや耐えがたかった。

ある日、突然、新たなガチャガチャが現れた。

さっそく、勇気ある者が試した。カプセルが軽い音を立てて落ちた。開けると、中には紙切れが1枚入っている。「A 定食」とだけ書いてあった。

すると、壁の一部が開き、ハンバーグ・カレーライスが出てきた。我々がその香りに喉を鳴らす中、男は瞬く間に平らげた。

我々はその新しいガチャガチャに殺到した。だが、すぐに明らかになったのは、ほとんどがハズレだということだった。

定食のために3コインを使い果たした者は、その日1日、水だけで過ごすことになった。こんな目に遭うならば、おいしくなくて少ないが、確実に食べられるガチャガチャのほうがマシだと、考える者も多かった。

この頃になると、我々の違いが明らかになってきた。ある者は、一日中ひもじい思いをするのを恐れず、「定食ガチャガチャ」に持てるコインすべてを投じた。また、ある者は「粗食ガチャガチャ」の3カプセルで満足した。中にはガチャガチャを2回にして、コインを貯めるものも出てきた。

さらに数日経って、新たなガチャガチャが現れた。

さっそく試してみた者は、そのカプセルの中にシャンプーの小袋が入っているのを見出した。別の者は石鹸だった。コインが出てきた者もいた。

その他は、巻尺、ハンコ、人形、ロボット、得体の知れないもの、そして、弾の込められた拳銃。

引き当てた男は、拳銃を我々の前でひけらかした。

そして、その次の朝から、我々にコインがいっさい与えられなくなった。