苦い文学

インディーフォークの陥穽

韓国の音楽はずいぶん前から細々と聴いていたのだが、本格的に聞くようになったのは、去年の3月ぐらいからだ。サブスクを利用するようになったことが大きい。

それから1年半、私はひたすら韓国の音楽を聴いてきた。はじめはいわゆる K-pop ばかりだったが、最近はインディー系のほうが多くなった。

だが、さすがに1年半も続くと、別のものが聴きたくなってきた。明るくて、にぎやかなのが多いので、少し疲れてきたのだ。そんなとき、Apple Music の「インディーフォーク」というプレイリストに出会った。

フォークに、ひねくれ、暗さ、歪みが加わったような曲が多く、私はたちまち虜になった。

プレイリストはほとんどがアメリカのミュージシャンだ。知らない名前ばかりだが、Fleet Foxes や Beirut、Damien Jurado など馴染みの名前もある。

私が特に気に入っているのは、Benjamin Gibbard & Feist の “Train Song” と Alex G の “Miracles” だ。“Train Song” は 2009 年の曲(原曲はもっと古い)、“Miracles” は3週間ほど前に出たばかりだ。

物悲しさと、あやしい暗さがある名曲だ。私はこの2曲ばかりもう何度も繰り返して聴いた。

すると、どうだろう、私はだんだんと孤独な気分になり、世をはかなむようになってしまった。

これはどうにかしなくては、と思っていると、同じ「インディーフォーク」中の1曲が目に止まった。

Wilco の “How To Fight Loneliness” だ。

もしかしたら、ここに「孤独と闘う方法」があるかもしれない、と思って私はさっそく聴いてみた。

“How to fight loneliness, Smile all the time…”
(孤独と闘うには、いつでもスマイルだ……)

さらに気が滅入ってきたので、結局、韓国の音楽に戻ることに決めた。