苦い文学

福の神と貧乏神

昨日(9月30日)の夜、私は夢を見た。

いかにも福々しい一人の老人がポワポワポワーンと枕元に現れてこう告げたのだ。

「わしは、日本の民の元気なきを憂い、長年、元気にしようと努めてきた神じゃ。その効果は、いまだ十分に明らかになってはおらぬが、わしの働きにより、人々が元気を取り戻すこと、これ確実じゃ。しかるに、この世には、まだまだ元気を求める人々がおるようじゃ。そこで、わしは他の国を元気にするためにこの日本を離れるつもりであるぞ。わしがいなくても、よろしく元気に生きよ」

私は狼狽し、叫んだ。「そんな! いったいどちらに行ってしまうのでしょうか」

「ウクライナじゃ」

高らかに笑いながらそう告げると、来た時と同じようにポワポワポワーンと消えてしまった。

この夢だけでも奇妙かもしれないが、実はその前にも同じような夢を見ていたのだ。

いかにも禍々しい外見の老人がポワポワポワーンと枕元に立ち、やはり神と名乗ったのである。そして、まったく同じこと、つまり日本を元気にするために働き、これから別の国を元気にするために日本を離れる、ということを私に告げ、同じ言葉で締めくくった。

「わしがいなくても、よろしく元気に生きよ」

私は叫び、行き先を尋ねた。

「ロシアじゃ」

この夢を見たのは今年の七夕の夜であった。いったいこの奇妙なふたつの夢にどのような関連があるのだろうか……。