ビルマに行ったとき出会った人に、両腕のない活動家がいた。
彼はアウンサンスーチーの熱心な支持者で、そのせいで両腕を失ったのだ。
彼女を支援するデモがあり、彼は大きな旗を振って隊列に加わった。その旗竿が電線に触れ、感電したのだ。
アウンサンスーチーは事故の話を聞くと、彼のためにできる限りのことをしたという(たしか、ドイツで治療を受けさせたとかいう話だった)。そのおかげで、彼は肘から先を失ったものの、命を取り留めた。
義手もあったが、普段はあまり使わず、SNSなどを使うときは装着すると言っていた。
私が彼に会った時期は、ビルマでも大っぴらに政治活動ができたが、今、彼はどうしているだろうか。
ところで、私は最近、近くに引っ越しをしたのだが、うっかり物干し竿を運んでもらうのを忘れてしまった。それで、自分の手で運ばなくてはならなくなった。
初めは横にして持っていったが、うっかり通りがかりの人をなぎ倒しそうで不安になった。なので、縦に持つことにした。
途中に、電線が密な通りがあった。私は両腕を無くした友人のことを思い出し、再び物干し竿を横にして、そろーりと運んだ。