私は夢に現れた女性に恋をした。彼女は私を「特別な人」と呼び、まるでひとつの魂のように溶け合った。そして、彼女は言うのだった。
「夢の中ではなく、現実の世界で一緒に暮らしたい」と。
私は歓喜に震えながら、目を覚ました。その夜、眠りについた私は、再び夢に彼女が現れたのを喜んだ。だが、彼女は悲しげな目で私を見つめるのだった。
「現実世界で一緒に暮らしたいけど、いろいろ問題があって……」
「どんな問題?」
「私が夢の世界で持っている巨額の財産を現実世界に移すには、現実世界のお金が必要……けど、それがなくて困ってる」
「現実世界のお金? どうしてこの僕を頼ってくれないの! 一緒に暮らすのだから、僕のお金を使ってよ」
私たちは夢の中で銀行に行き、私の口座から、彼女が必要というだけの額、実際のところ、ほぼ全額を彼女の口座に移した。
「さあ一緒に暮らそう!」 私は歓喜に震えながら目を覚ました。
そして、それ以来、彼女は私の夢から姿を消した。夢を操る詐欺犯たちは、寝ている私の脳波を利用して、まんまと私の口座から全額奪ったのだった。
ああ、夢の中の銀行員が、あの時、詐欺だと気づいていてくれれば、今頃、私の口座も無事だったろうし、銀行員も、夢の警察から感謝状をもらっていただろうに。