苦い文学

無駄な教育

「学校教育には無駄な知識が多すぎるので、必要のない生徒には教えるべきではない」などという人がいるが、こういう話を聞くと、私が思い出す物語がある。

それは確かどこかの僻地に伝わる民話で、人間の誕生を物語るものだ。

昔、神々が相談をして、自分達そっくりに人間を作った。神々はそのでき栄えに満足したが、しばらくしてある者が言った。

「人間には手は100本も必要ないだろう。我々とは異なり、大地の上で暮らすのだから」

神々は賛同し、98本の手を奪った。するとまた別の神が言った。

「足も100本もいらないのでは。大地を歩ければいいのだから」

それで、2本だけ残された。そんなふうにして、50個あった目は2個になり、20個あった鼻の穴や耳も2個になった。

「心も10個もいらないと思うが、どうだろうか。神々の世界に比べれば、大地の暮らしは単純だから、そんなにあっても無駄だと思うのだ」

「そのとおりだ」と神々はうなずき、心を9個取り除いた。

そんなわけで、心が1つだけになってしまった人間は、思いやりや思慮深さ、他人を尊重する気持ちを失い、「学校教育には無駄な知識が多すぎるので、必要のない生徒には教えるべきではない」などと切り捨てるようになったのだそうだ。