苦い文学

難民ビザの効力

難民は自分達がどうして迫害され、その結果、国を逃げ出すこととなったか、十分に理解していると、人は思うかもしれない。

しかし、実際はそうでないこともある。ひとつには民族的・宗教的迫害というものが、個人に対して加えられるものではなく、集団に対して加えられるものだからだ。だから、難民の中には子どももいて、その場合、自分の境遇を説明できないこともある。

だが、もう大人と言っていいほどの若者も、自分がどうして難民なのか、わかっていない人もいる。本当に難民に値する事情があってもだ。

どうしてかというと、難民を生み出すような国では、まともな教育が行われていないことが多いからだ。ましてや、迫害されている民族の歴史など教わる機会など、ほとんどない(日本の学校で在日朝鮮人の歴史を教えないのと同じだ)。

そういうわけで、難民と呼ばれる人の中には、自分がどうして難民になったのか、はっきりと説明できない人もいるし、そもそも難民とは何かも理解していない人もいる。

最近の話だが、ビルマの少数民族の若い学生が、難民申請をし、それでビザをもらった。そして、ビザが降りた日、その学生は入管の職員にうれしそうにこう言ったそうだ。

「これで私はビルマに帰って結婚式を挙げて、日本に帰ってきます」

入管の職員は「帰国したら、取り消しになるよ」と返したとのこと。