ノリツッコミというのは、よく知られているように漫才のつっこみかたのひとつで、ボケにしばらく乗ってからつっこむというものだ。
このお笑いの技法をテーマにした小説を読んだので、紹介をしたいと思う。
タイトルはその名も『のりつっこみ』(須田廉著)。
丹波と和田という二人の男の物語だ。二人は、大学のお笑いサークルに属していて、その飲み会の場面から物語は始まる。お笑いサークルらしく、熱いお笑い論や大喜利の勝負などが繰り広げられ、やがて、ひとりひとりがノリツッコミの披露ということになった。
丹波の番が回ってきた。彼が隣の和田を相手にボケるのだ。そこで、彼は自分のカバンの紐を手に取り、隣に座る和田の方にたすきのようにかけ、叫んだ。
「先生!」
つまり、選挙運動中の政治家というわけだ。和田もうまくそれに乗って、割り箸をマイクにして「有権者の皆さん!」と演説をぶち始めた。これには一同、大笑いとなったのだが、話は飛んでそれから20年後、この和田が本当の政治家となって丹波の前に現れたのだ!
果たして和田は本物の政治家となったのか、それともノリツッコミをまだ継続しているだけの政治家なのか? 疑念に突き動かされて丹波は一人、和田の選挙事務所に乗り込む……
と、そういう話だが、これ以上はネタバレになるから、続きはご自分でお読みいただきたい。
ただし、小説のデキとしてはいろいろとツッコミたいところもあるのも事実だ。