平助は子どものころからお笑いがすきで、いつの頃からか、自分でもギャグを書くようになった。気が向くと、ときどき自分のブログに発表したりしていた。
もっとも、あまり面白いものではなかった。彼には笑いの才能といったものがないようだった。
しかし、それでも平助は諦めずにネタを作り続けた。そうしたら、ある日のこと、とんでもない傑作ができあがった。それができた時、平助はその日1日笑いが止まらなかった。2日目も笑いが続き、3日目からは、1日目からの笑いに加えて、思い出し笑いが始まった。
笑いが完全に収まるまできっかり10日を要した。
これはみんなにぜひ読んでほしい、と平助は思った。そこで彼はこの自信作をブログに載せようと準備した。
そんなとき、芸能人が自殺した。
ニュースを見て平助は「いやこれはダメだ」と悔しがった。というのも、彼の傑作ギャグは自殺を扱っていたのだ。自殺の話題で世間が持ちきりのとき、自殺ギャグなど面白がってもらえるはずもなかった。それに、便乗したと思われるのもいやだった。
そんなわけで、平助はしばらく自分の傑作を寝かせることにした。
しばらくたち、彼はそろそろ頃合いだなと判断した。彼はブログの準備をした。そしたらその矢先。
芸能人がまた自殺した。
とても残念だった。いったい、自分はいつになったら傑作自殺ギャグを世に問うことができるのだろうか。
平助はその死を報じるニュースをぼう然と見つめつづけた。そして「芸能界はこの問題にまじめに取り組むべきではないか」と憤りながら思った。