入管収容所というのは、刑務所とは違って刑期がないので、いつ出られるかもわからない。これはとても苦しいことで、精神的に参ってしまったり、自殺を試みる人もいる。狂気か死しか逃げ場がないのだ。
さて、入管収容所に毎週のように通って、支援活動をしている人がいた。入管に行っては、被収容者の相談に乗ったり、差し入れをしたり、仮放免の申請をしたりしていたのだ。
そんなふうに被収容者と接し、収容所での厳しい暮らしを知るにつれ、彼はなんだか胸が押しつぶされるような苦しさを感じ始めた。閉じ込められている人々に感情移入しすぎたせいにちがいなかった。
入管のことを考えると、窒息しそうになった。しまいには、収容所のような逃げ場のない場所、混んでいる電車とか、エレベーターとかにいるのも耐えられなくなってきた。
やがて外出することもできなくなった。これでは仕事などできるわけもない。彼は仕事を辞め、無収入になった。
そして今、彼は、入管に賠償請求する準備を進めている。
勝ち目はないだろうが、無駄ではなかろう。