今年のゴールデンウィークは、久しぶりに大学時代の友人と会ったのだが、私は彼の顔面を見るやいなや仰天してしまった。
彼の顔はといえば、いくつもの眼鏡によって覆い尽くされていたのだ。それらの眼鏡は、頭の上から顎の下に至るまで縦に隙間なく並んでいた。どの眼鏡も耳にかかっていたから、ちょうど丸まったダンゴムシの背中のように見えた。
そして、彼は何かするたびに、眼鏡をせわしなく取っ換え引っ換えした。
つまみをひとくち食べたり、ビールを飲むときには顎先の眼鏡をさっと引き上げる。私が話しかけると私のほうを向きながら頭頂の眼鏡に掛け直す。そして、メニューを見るときは素早く鼻先の眼鏡に入れ替え、店員に話しかけるときには、後頭部に引っかかった眼鏡をさっと前に回すといった按配なのだった。
つまり、あまりにも老眼が進行してしまったため、わずかな距離の変化にももはや目の筋力がついて行くことができなくなってしまったのだ。
だが、結局のところ、私も老眼だし、酒が進むにつれ彼の奇矯なふるまいにもやがて慣れてしまった。
しかし、それにしても楽しいひとときだった。私たちは、何十年も前の大学時代のエピソードにさんざん笑い合った。私はしみじみと言った。
「ああ、俺たちも気がつけばもうこんな年だ。ずいぶん歳をとったな!」
「そうだな。いったいあの懐かしくも楽しい時代はどこに行ってしまったのだろうか……」
彼は感慨深げにこう言いながら、あたかもはるか遠くの青春時代を見つめるかのように上を見上げ、眼鏡を付け替えた。