苦い文学

帝国の復興

ある兄弟の話だ。

弟はとても親孝行で、年老いた両親の面倒をなにくれとなく見ていた。

兄はといえば、弟とは逆で、近くに住んでいるくせに、めったに実家に顔を出しもしなかった。

ある日、弟が兄のところに行き、その親不孝ぶりを責め立てた。すると兄は怒って弟を追い出したのであった。

その兄は私の友人であった。彼は私にこの一件について語ると、次のように嘆じた。

「弟は、親孝行をしていれば、まるで、昔の楽しかった家族生活が戻ってくるかのような妄執に取り憑かれているのだ。弟にすれば、それに協力しない俺は敵でしかないというわけだ。だが、俺は親の人生よりも自分の人生のほうが大切だし、そもそも過ぎ去った時間をもとに戻すなど、いったい誰にできるだろうか」

私は彼のこの言葉を聞いて、最近、似たような話をどこかで聞いたように思った。

しばらく考えた私は、かつての偉大なるロシア帝国を取り戻そうと「兄弟」と(一方的に)思っているウクライナに侵攻を始めたプーチンのことだと思い当たった。