苦い文学, 難民, 入国管理局, 東京入国管理局

きびしい日本語

「やさしい日本語」は日本に暮らす外国人にとってわかりやすい日本語を使おうという取り組みで、最近は入管でも使用されている。

これは基本的には、災害時の情報提供や官公庁の通知などの書き言葉として用いられ、話し言葉としては想定されてはいないようだ。

おそらく、書き言葉とは違って話し言葉は相手に合わせて容易に調節できるからかもしれない(もっとも、本当のところこれはけっこう難しくて、訓練が必要だ)。

そのような調節された話し言葉の一例として、私が挙げたいのが入国管理局の受付、特に仮放免申請や難民申請などの部門の受付での「きびしい日本語」だ。

この「きびしい日本語」がいかなるものかというと、俗にいう「命令口調」なのだ。たとえば、入管で我々はこの「きびしい日本語」が、以下のごとく外国人に対して使用されているのを聞くのである。

「何?」「それダメ」「どうした?」「そこで待ってて」「あのね、それじゃ話にならないの」

そばで聞いていて私自身腹立たしくなるのだから、正面からこう言われている外国人の忍耐力にさいわいあれだ。

もっとも、入管が対応する外国人には日本語力の低い人もいるから、そういう人にも通じるようにと、こんなふうに「きびしい日本語」となったのかもしれない。だが、そのいっぽう、この言葉遣いからして、入管の外国人に対する態度が推しはかることができるともいえよう。