苦い文学

悔しがり屋

私は人間として自分のことはよくわからない。良い人間なのか悪い人間なのかもわからない。私がどんな人間であるにせよ、この世の中には、私の友人・味方となってくれる人もいれば、私をきらい憎む人もいるだろう。そして今、私はこの文章を私を憎んでいる人に向けて書いている。

この2月、私は『アラビア語チュニス方言の文法研究—否定と非現実モダリティ』(ひつじ書房)という本を出版した。

これは、日本学術振興会の「研究成果公開促進費(学術図書)」という助成金によってはじめて可能になったものである。

この「研究成果公開促進費(学術図書)」がいかなるものかはさておき、私を憎み、少しでもイヤな思いをさせたい人にぜひ知っていただきたい事実がひとつある。

それはこの助成を受けたら、印税が入らないということだ。

これは本当だ。公募要領にはこう書いてある。

「本補助金による刊行は無印税とし、著者・編者・著作権者は、一切の利益を受けることができません。」

もう明らかだろう。みなさんは、この本を買うだけでいいのだ。

それだけで、印税が入らなくて歯がみして悔しがっている私を見ることができるのだ。うさ晴らしにうってつけの機会ではなかろうか。

なお、1冊よりも、2冊、3冊とまとめて買われたほうが私にとってはダメージが大きいということも申し添えておきたい。