苦い文学

論文投稿

学術的な論文は、学術誌に掲載される前に査読というものを受ける。査読というのは、複数の匿名の査読者がその論文を読んで、評価をすることだ。その評価に応じて編集委員会が掲載の可否を決めるのである。

掲載しないということになればそれで終わりだが、そうでない場合、大きくわけて2つの可能性がある。そのまま「採用」となるか「修正して再提出」かのどちらかだ。後者は、気合いを入れて直せば「採用」になるかもしれない場合だ。

この場合、論文著者は査読者(通常2人)が編集委員会に提出した「コメント、疑問、間違いの指摘」などの記されたレポート(査読結果)をもとに、修正稿を作成しなくてはならない。そうやって最終的に「採用」を目指すのである。

私にとって、この査読がもっとも「厳しい」学術誌がある。つまり、要求するレベルが非常に高いのだ。

最初にその学術誌に論文を載せてもらったときのことだが、私はバカみたいに何も考えずに論文を投稿した。

そして、数ヶ月後に編集委員会より「改訂して再提出」という知らせをいただいたときも、私はバカみたいに何も考えずに喜んだ。

「改訂して再提出」から「採用」に至るまでの長く過酷な道のりが今まさに始まったということを知らなかったのだ。

さて、この最初の論文の掲載から2年ほどして、私は同じ学術誌に再び投稿した。3か月後に「改訂して再提出」の通知をいただいた。

今回は喜ぶどころか、これから待ちかまえる過酷なプロセスを思って、がっくりと肩を落としたのであった。