苦い文学

亡者の収集(異文)

清の時代、山西の陽曲県に陶晶明という篤実な男がいた。

あるとき、陶は生ゴミを捨てにごみ捨て場に行くと、とあるゴミ袋にペットボトルが入っているのに気がついた。

陶は「ゴミの分別がなっていないようだ」とそのゴミ袋からペットボトルをとりだして、懐に入れると立ち去った。

だが、ちょうどその時、薛某の運転する車が走ってきて、陶を轢いた。

亡者となった陶は、気がつくと道端に座っていた。まわりにはたくさんの亡者がいてやはり彼と同じように座っている。

そこに荷車を引いた鬼卒が二人現れた。鬼卒たちは「さあ地獄で燃やすゴミの回収だ」というと、道端に座る亡者を掴むや、次々と荷台に放り込みはじめた。陶はこの恐ろしい光景に肝も潰れんばかりだった。

やがて鬼の手が陶の首根っこに伸びた。そのとき、別の鬼が言った。「おい、こいつは回収できないぞ」

鬼が陶の懐を探ると、ペットボトルが出てきた。「ゴミの分別がなっていないようだ」と鬼は言い、残りの亡者を荷台に積むと陶を置き去りにして行ってしまった。

陶が息を吹き返したのは、彼の葬儀の最中であった。人々は陶の蘇生に驚き、冥界でのできごとを聞くともっと驚いた。

陶を轢いた薛某は、大商人の郭陽の家の使用人であった。一部始終を聞かされた郭陽は、多額のビットコインを陶に送ったということである。