苦い文学

遅筆の励まし

あとがき

本書を執筆するにあたり、数多くの方々から支援と助言をいただいた。

本書の前半部は、飯田勘平先生の勉強会での活発な議論によって生まれた。そして、草稿の段階では、井成太志氏、箱田助六氏、ジャック・バラン氏に数々の助言をいただいた。

また、執筆の遅れがちな私を辛抱強く見守ってくれた編集の折田詰仁さんにもお礼を述べたい。折田さんは、本書の後半部にいたって筆の進まなくなった私を、時には優しく励まし、時には厳しく尻を叩いてくれたのである。

その尻の叩き方はといえば、まずは優しくなでるようであったが、それでもなお私の筆が遅々としていると、徐々に力を強め、ついには満身の力で青あざができるまでになった。

しかし、相変わらず私の遅筆は改善しなかったため、折田さんは今度は棍棒や鞭できつく叩いてくれた。さらには、針やピンチなどで鋭い痛みを付け加えることも忘れなかった。

にもかかわらず、逆に筆が渋りがちとなった私の尻に、折田さんは習得したばかりの攻撃呪文をかけて爆発させたり、悪霊を憑依させて痙攣させたりしてくれたのである。

そして、ついにはいっこうに動かなくなった私の筆を動かすべく、折田さんは尻に対して宣戦布告し、太平洋沖で大艦隊を指揮して猛攻撃をしかけた。

だが、それでも頑固に筆が進まぬと見ると、折田さんはヒマラヤの奥地で得たタリスマンをかざして異次元の扉を開き、暗黒世界の魔物どもを召喚してあらゆる邪悪な力を尻に集中させたのである。

その結果、私の尻には奇怪なる人面疽が生じるにいたり、この人面疽の口述筆記によりなんとか本書の後半を完成させることができた。この人面疽への感謝を述べて筆を置きたい。