最近、どうも抜け毛が増えてきて、このままだとすべて抜け落ちてしまうのではないかと心配になった。
とはいっても、薄毛治療や発毛剤に頼る経済的余裕はないので、自己流で対処することにした。
髪の毛が抜けるのは毛根が弱っているからだ。毛根が弱るのは、これは現代の若者と同じでたるんでいるからだ。平和ボケだ。
髪の平和ボケを直すのは、頭皮を愛し守る心、愛頭心が重要だ。愛頭心を育成するには、徴兵制しかない。なので私は、頭に徴兵制を導入して、徹底的に揉んだり叩いたり冷水を浴びせかけたりした。
しかし、兵士というのは戦うためにある。戦いには敵が必要だ。そして、敵といえば、謎の飛翔体でお馴染の北朝鮮をおいてほかにない。
私は、髪どもに徹底して北朝鮮に対する憎悪を植えつけた(憎悪の植毛だ!)。拉致事件を利用して、敵意を燃え立たせた。あちこちにポスターを貼ったり、威勢だけよくて中身のない演説をぶったりしたのだ。また、頭のでこぼこを活用して、平壌攻撃作戦の訓練を繰り返した。
肉体と精神にわたる過酷な軍事教練の結果、あの軟弱な髪どもはもはやどこにもいなかった。愛頭心に満ちた強靭な戦士たちが頑丈な毛根の上にすっくと立っていたのだ。
あるとき、私がテレビを見ていたときのことだ。ニュースが始まり金総書記の姿が映し出された。
その瞬間、私の髪の毛が一斉に奮起した。そして、あろうことか、北の独裁者めがけて一斉に特攻攻撃を始めた! 神風ばんざい! 後に残されたのは、すっかり禿げ頭となった私……。
……そして月日が流れ、今、私の頭の上には立派な神社が建ち、参拝客で賑わっている。
(この有益な物語の教訓は、愛国心を利用するものは愛国心に滅ぼされるということと、薄毛治療(HAGE)はちゃんとした専門家に相談すべきだということである。)