苦い文学

エア

彼はエアギターというやつをやってみた。意外にエア上手にできたのでエア人前でエア披露に及んだ。エア喝采を浴び、たちまちエア評判を呼んだ。

エアラジオからエア問い合わせが来て、エアインタビューを受けた。そして、日本中にエアオンエア。

エアテレビからも声がかかり、エア出演だ。これをエアきっかけにエアタレント活動が始まった。

軽妙なエアトークがエア話題となり、エア各局でエア引っ張りだこ。ついにはエア司会としてエア番組を持つまでになった。

エア収入もエア増すばかりで、エア都内のエア一等地にエア邸宅を建てた。エア「エア御殿」とエア近隣でエア噂の的。

エア美しいエアモデルをエア妻に向かい入れ、エア新婚としてエアハネムーンにエアエアーでエア飛び立つ。

まことに満ち足りたエア人生かと思いきや、エアが切れて、たちまち彼は四畳半ボロアパートの暮らしに引き戻される。

「人生はチビシイ……」

と彼は横になって鼻をほじるのであった。

エア「水木しげるの短編まんが」完。