私たちの住んでいる市の中学校で、生徒が自殺した。原因はいじめだ。この悲痛なできごとをきっかけに、市民のあいだで市の教育のあり方を問い直す動きが生まれた。その結果、市長は深く謝罪するとともに、生徒の死を無駄にしないと誓い、「いじめ防止基本方針」を策定した。
また、私たちの市には魔の交差点といわれる場所がある。かねてから事故の多発する場所で、住民は長いこと市に対策を求めていた。市の反応は鈍いものであったが、先月、この交差点で児童の列にダンプが突っ込み、7人の犠牲者がでるという大惨事が起きた。ことここに及んで、ついに市は対策に乗り出した。市長は深く責任を痛感すると語り、こどもたちの死を無駄にしないためにも、市内全域の通学路の安全性を見直し、問題があればすぐに対策を講じると約束した。
コロナ禍による医療崩壊という出来事もあった。市の対応が不十分かつ適切であったため、多くの高齢者が亡くなったのだ。市長は直ちに記者会見を開いた。会見では、医療体制の充実を図ることで、高齢者たちの死を無駄にしない、と目頭を押さえながら陳謝した。
私たちは、次に死を無駄にされないのは自分ではないかと、もう戦々恐々なのだ。