私は老眼がひどいので、眼鏡を2種類使用している。ひとつは外出用の眼鏡で、遠くまで見える。もうひとつは室内用で、パソコンを使ったり、韓国のドラマを見るときに使用する。しかし、この眼鏡では本の文字やスマートフォンは見ることができない。そういうときは裸眼だ。
つまり、遠距離用眼鏡、手元用眼鏡、裸眼という三段階を使い分けていることになる。しばしば混乱して、自分が眼鏡をかけているのかかけていないのかわからなくなるのは不便だ。
だが、目が悪いということも必ずしも悪いことばかりではない。
この間、カレン人の友人と喫茶店で話をした。ビルマでデモ隊に軍用車が突っ込んで何人もの人が殺された事件の話になった。
彼は、その惨劇の写真を、日本で行われるデモで使用するというのだ。彼はスマートフォンをいじりだした。
ビルマの人々との付き合いが長い私は、すぐに予期した。私はテーブルに置いておいた遠距離用の眼鏡に掛け替えた。
「ほら、この写真。かわいそうだね。みんな子どもだよ」
彼は自分のスマートフォンの写真を私の前にさし出した。
「ああ、そうですか」
と画面をのぞき込んだ私であったが、早めの対策のおかげで、何か赤いものだけ以上のものを見ないで済んだのであった。