学生はオンライン授業中は必ずカメラをオンにしなくてはならない、という通知が出された。昨年私が教えていた学校でのことだ。もっともらしい理由が書かれていたが、要は学生を信じていないのだ。
しかし、学生にカメラをつけさせるのは至難の業だ。なんども呼びかけたあげく、ようやく一人の学生がカメラをつける。そこで次の学生にカメラをつけるよう働きかけ、これがつけてくれたと思ったら、最初の学生のカメラがオフになっている。もしやと思って、2番目の学生に目を向けると、こっちもオフだ。まるでモグラ叩きのようなのだ。
あるとき、私のオンライン授業に視察が入った。もちろん、カメラのチェックだ。
私は必死になって学生一人一人にカメラを付けるように要請した。ひとたびつけた学生にはもう消さないように頼むと同時に、まだの学生には厳しい声で促した。もう授業などそっちのけだ。私はめまいがしてきた。喉がかれた。歯を食いしばりすぎて奥歯が割れた……だが、ついにその時がやってきた。私のスクリーンに60人全員の学生の顔が映し出されたのだ。壮観だった。
と、その画面が暗転し、ひとりの見知らぬ男の顔が現れた。微笑みながら彼は言った。
「おめでとう。君はついにやったのだ。これらの学生は本当の学生ではなく、実は世界中で行われていたコロナとの戦いを象徴していたのだ……そして、君がひとり学生にカメラをつけさせるたびに、コロナが敗れ去っていったのだ。そうだ、君は世界を救った……さあ、ログアウトするがいい。世界中が英雄を待っている……」
などと考えながら、学生に呼びかけたが、もちろん誰一人つけるものはなかった。
授業後、責任者のひとりが「これは大問題ですよ」とメールを送ってきたが、「うるせー、お前の学校の方針のほうが大問題だ」と思った。