私は現在、コロナ禍はもちろんのこと、他の点についても逆境にあるが、「明けない夜はない」という言葉を聞いて、励まされたように思った。夜の闇がやがて暁光に追い払われるように、あれやこれやの苦難もまたいずれは霧散するのだろう。
だが、よくよく考えてみると、夜はなにもせずに待っていれば朝になるが、苦境はそうではない。コロナ禍もまさにそうだ。手を消毒したり、マスクをしたりしなくてはならない。それに、こういった個人でできることだけではなく、コロナ感染者を減らすためのさまざまな取り組みに社会全体が協力するのではなくては、これを克服することは難しい。
となると「明けない夜はない」というのは、コロナとか人生とかとはまったく関係ないのではないだろうか。それは「青に変らない信号はない」とか「伸びない髭はない」とかと同じなのではないか。
「してみると」と私は独り言ちた。「この言葉に励まされたのはとんだ大損だったわい」
そして私は布団に潜り込み、昼までぐっすり寝たのであった。