八月になってからワクチンを打とうと思っていたら、市内ではもう予約はできないのだった。人の話によると一年後だとかいう。
職域接種という手もあるが俺は無職なので可能性はない。無職域接種だったら、と希望を持ったが、ワクチンどころか平手打ちを食らうおそれもある。俺はついに諦めて、こんな歌を詠んだ。
ワクチンの争奪戦に敗れし我は新たなコロナに生まれ変わらむ
どうせコロナにかかって死ぬのならば、もっと新型でもっと強力なコロナに転生して、この世を席巻してやろうと考えたのだ。
俺たちは、次の次の御代ぐらいに、どこかの密林で誕生するだろう。名づけに困るほどの株を秘め、もう誰もが数えることを諦めるぐらいの波を従えて、放たれるだろう。そして、触れる者をみな陰謀論者へと変え、人類を滅亡の淵へと追いやるのだ。
だが、その後、あるツテを使ってワクチンを接種することができた。今は一刻も早くコロナが収束することを祈りながら、韓流ドラマを見る毎日だ。