Arakan, Burma, 難民, Karen, OKO-Jpan

アラカン州の現状とカレン民族

 アラカン州(ラカイン州)の紛争についてちょっと書いたから、これについて4月14日、カレン人の団体が出した声明について触れておこう。

 これはInternational Karen Organisation(IKO, 国際カレン機構)という団体が出したものだ。IKOはミャンマー国外に暮らすカレン人の結成した団体で、レターヘッドにもあるように、アジア太平洋地域、ヨーロッパ、アメリカ・カナダ地域にまたがる国際団体だ。

 2015年10月、カレン民族とビルマ政府との間で停戦協定が結ばれたが、カレン人を代表して署名したのはカレン民族同盟(KNU)であった。この停戦は少なくとも国内のカレン人には支持されていたと思うが、国外で難民として暮らすカレン人にとっては納得のいかないもので、カレン民族への「裏切り」だと非難する者もいる。これら停戦に反対するカレン人の立場から活動しているのがIKOだ。

 以前からそれぞれの国にカレン人組織はあったが、それらがIKOとしてまとまるようになったのは、少なくともアジア太平洋地域においては、オーストラリアのAKO(Australia Karen Organisation)のリーダーが積極的に各国のカレン人コミュニティに協力を要請したからだ。

 日本は、他の国と異なり、複数のカレン人組織が活動している。停戦協定ののち、このAKOのリーダーが来て、IKOへの参加を呼びかけたが、今のところ、積極的に協力しているのは海外カレン機構(日本)(OKO-Japan)だけのようだ(ちなみに私はこの団体に参加している)。

 さて、今回の「ビルマ国軍の行っている無実のラカイン人(アラカン人)市民への射撃と殺害に関する声明」と題された声明について以下要約する。

 IKOはアラカン軍(Arakan Army)とアラカン人に対するビルマ軍の軍事行動を非難する(項目1)。

 ついで、アラカン州でビルマ軍がしていることはカレン人に対しても行われてきたことであるとの認識が示され(項目2)、これをビルマ独立以来70年続く、非ビルマ民族迫害の歴史の中に位置付け、この問題は「政治的な問題」であると述べる(項目3)。

 そこで政治的な解決としての和平交渉について述べるが、これを妨げるのが、アラカン軍をテロリストと決めつけるビルマ政府の態度であると指摘し(項目4)、こうした態度は、今後の和平交渉の妨げになるとビルマ政府を非難する(項目5)。そして、コロナウイルスが蔓延する中で加速する軍事行動を即時停止するように求めて声明は終わる(項目6)。