私は昨年、日本語教育能力検定試験を受けたが、会場は昭和女子大学の3階の教室であった。試験 I は9時50分から、試験 II は12時50分から、そして、試験 III は昼食を挟んで14時25分から行われた。試験 I は基礎的な問題、試験 II は聴解問題、試験 III は応用問題、そして400字前後の記述問題もある。
試験 I は言語学の問題も多い。なので、焦らずに乗り切れた。だが、試験 II では、試練が待っていた。
聴解問題なので、機器のセッティングに少々時間がかかる。うまくいくかのテストもする。聴解はやるほうも緊張する。問題用紙、解答用紙が配られ、開始時間までそれらを前にじっと座る。もちろんのこと、私語などない。聴解は耳がすべてだ。誰もが聴覚を研ぎ澄ます瞬間。
だが、そのときだ。カラスの鳴き声が聞こえてきたのだ。構内のどこかでカラスが鳴いているのだ。
「カア、カア」
聴解問題用に仕上げられた私の聴覚が反応する!
「高高……高高」
別の方向からもカラスが鳴く。
「カーア」
「高高低……」
準備万端だ!
そんなたるんだ気持ちのまま、試験に突入だ。集中なんてできるわけない。もう途中でついていけなくなって「カラスのアクセントだと! お前なんかカラス語教師がお似合いだ!」と呪うがすでに遅い。
なんとか合格したが、さもなければ、今ごろこの文もカラス語で書いていたことだろう。
