読み物

ただいま禁酒中!(8)

 長期の飲酒習慣が、脳萎縮を引き起こすことはよく知られている。委縮するだけなら頭蓋骨内に収納スペースが増えるわけで結構だが、この萎縮はやがて認知症を引き起こす。

 このアルコール性の認知症というやつは厄介で、できればなりたくはない。

 禁酒以前の私の脳がすでに萎縮していたかどうかは、検査をしていないのでわからない。その可能性は大いにある。が、たとえそうだったとしても1年以上の禁酒により、だいぶふっくらしてきているのではないか。

 となると、もうそろそろ、飲酒を解禁してもいいような気もするが、これでまたすぐに萎んでしまったら残念なので、しばらくは禁酒を続行したい。

 再開するとしたら80歳になったらだ。その時には飲酒を待つまでもなく、脳はすっかり縮こまっていることだろうから。どうせなら、80歳以降は飲酒を皮切りに様々なことにチャレンジしていきたい。

 90歳になったら、喫煙を再開したい。パイプはもちろん、自分で紙を巻くタバコもやってみたい。そうすると大麻もやりたくなる。

 だから、100歳になったら、大麻、覚醒剤、LSDなどさまざまな麻薬をやってみるつもりだ。麻薬といえばクラブ・ミュージックだ。夜な夜なクラブに繰り出すのだ。となると、たぶん女性たちが放っておかないだろう。

 ならば110歳からは女遊びだ。自分より10も20も若い娘たちと浮名を流すのだ。たしなみとして避妊も忘れないようにしたい。しかし、放蕩生活にもやがて倦み果てる時が来る。心の鬱屈を外に向ける時が来たのだ。

 そこで120歳になったら、年上の連中たちに反抗してみたい。経験も財力も上回るこれらの権力者たちに、若さというたった一つの武器を持って立ち向かうのだ!

 いや……もしかしたら、脳の萎縮がますます進んでいるのかな……。

(おしまい)

ヤンゴンのビヤホールで