今は酒をやめて2年半以上になるが、飲んでいたときは、私は酔うことは少なかった。
人と飲むときは、私は人々と同じか、それ以上飲んだが、ほとんど酔わなかった。酔うとしても、最後のことでで、みんなと別れた後、一人になったときに、酔いが回ってくるのだった。
酒に強い。私はしばしばそういわれ、自分でもそう思っていた。
だが、酒をやめて、ときたま自分の飲み方について考えるようになると、自分は酒に強いのではないと思うようになった。
世には酒を飲むと陽気に笑いだす人がいる。これを笑い上戸という。しきりに泣く人は泣き上戸だ。怒り上戸とはいわないが、怒りだす人もいる。卑猥になる人、愚痴っぽくなる人、酒癖はさまざまだ。
これと同じように、私は酒を飲むと酔わなくなるタイプだったのではないだろうか。酒癖とは周囲の人によって決まるソーシャルなもののようだが、私の場合は、人がいると酔わない上戸となるのだ。
その証拠に、一人で飲むと私は数杯で酔ってしまう。つまり、本当は酒に弱いのだ。
おそらく酔わない上戸は私だけではあるまい。そういう人はいつか体を壊すので、酒をきっぱりとやめるか、一杯で酔いつぶれるように心がけるかのどちらしかない。