真実の記録

国境の酒

日本政府から退去強制令が出されたのに、さまざまな理由から故国に帰ることを拒否する人々は、基本的には入管の収容所に収容される。

そこで、日本での滞在を認められれば、出ることができるが、たいていの場合は、強制送還されるか、仮放免許可を得て一時的に制限付きの滞在を許されることとなる。この仮放免許可は、決まりはないが、最低でも1年は収容されている人に出ることが多い。それが出なくて、2年、3年と収容が長期にわたる人もいる。

収容所内は、タバコは吸えるが、お酒は飲めない。したがって、アルコール依存症の人にとってはよい断酒の機会になるが、そうした人々は仮放免された後も再び飲みはじめる。その結果、亡くなった人も私は少なくとも3人は知っている。

入管での生活は、単調で、ストレスの多いものだ。収容されている人の中には、酒を醸そうと試みる人もいる。私が聞いたのは、食事で出るバナナの皮の内側の筋を、発酵させるための食パンと一緒にペットボトルに入れて作るというものだ。実際に作った人によれば、まずくて飲めたものではないということだが、その酒でささやかな宴会が開かれていたのを目撃したという人もいる。

美味しいわけはあるまい。だが、少なくともささやかな自由の味はすることだろう。

私は思うのだが、もういっそのこと、この入管の酒を「くにざかい」とでも名づけ、1年もの、2年もの、3年ものと等級をつけて売り出したらいいのではないだろうか。

もっとも、この酒が地酒なのか洋酒なのか輸入酒なのか、そのあたりは私にもよくわからない。