入管は仮放免許可申請の結果を申請者に伝える。今回は収容されているSさんが申請者だったので、許可はまず彼に告げられた。なので、彼は私に電話をかけてきたのだった。
ちなみに外にいる人が申請者の場合は、入管が口を聞いてくれるのは許可された時だけだ。つまり、電話をかけてきてくれるのだが、不許可の場合は簡易書留のみとなる。
しかも、いまいましいことに書留なので、不在にしていた場合は再配達を頼まねばならない。こっちは差出人に入管と書いてある不在票を見ただけで、もう不許可だと分かるので、実際に受け取る必要などないのにだ。
Sさんからの知らせを受けた私は、すぐに牛久入管に電話をかけた。目の前で待たせている難民の用事はもう一つ後回しになったのだ。少しぐらい待たせたってかまいやしない。急げ!
職員が仮放免担当の人に取り次いでくれる。仮放免手続きの件で電話したことを告げる。普通だったらこれですぐに「ああSさんの件ですね」と応対が始まるのだが、相手は「はてどなたで?」という感じだ。この理由は後でわかる。
ともあれ私たちは手続きの日程を決めねばならない。
「手続きができる日は最短でいつですか」
「明日です」
つまり19日だ。私は20日から少々忙しくなるので、明日できるならばそれに越したことはない。
「では、明日にします」
職員は、身分証と印鑑と保証金を持ってくるようにと言って切った。
保証金は10万円だ。安い。3月末に長崎で仮放免手続きをした時は40万円だった。安いのにはわけがある。入管がそれだけ早く外に出したがっているということだ。保証金が高額のため金策に手間取って、手続きが遅れるのを避けたいのだ。
夜、Sさんから電話がかかってきた。
「仮放免いつになりましたか」
「明日です!」
大喜びだ。
