真実の記録

不合格

「合格」は「合格する」と動詞になる。「不合格」は「不合格だ」なのでナ形容詞だ。つまり、合格するときは動詞だが、不合格だとナ形容詞になる。

このように「する」がつくと動詞として使える名詞でも、「不」とか「無」とか「未」がつくと動詞にはならない。例えば「案内する」と「不案内だ」、「漂白する」と「無漂白だ」、「処理する」と「未処理だ」などいろいろある。

しかし、日本語の学習者にはこの違いがわからない人もいて、「不合格だ」を「不合格する」とよく言っている。これは、「不合格」を「合格」と同じように「〜する」と動詞で使えると推測したためだ。

留学のたくさんいる学校で、日々、進路指導している職員がいた。コロナ以前のことで、留学生の進路の問題はとてもシビアだった。

それでその人は、あまりにもたくさんの「不合格しました」に接したため、ついに彼自身も「不合格しましたね」とか言うようになってしまった。

現代日本語に生じた変化といえよう。