「丸い輪の世界」というのは、水木しげるの短編で、ウェルズの「The Door in the Wall」がその着想のもとだったとよく言われる。
物語は、少年が不思議な「丸い輪」を通じて、亡くなった妹の暮らす世界を訪問するというものだ。この「丸い輪」はいつ出現するかは分からず、ついに「丸い輪」に入る機会を逸した少年は、妹と会うことができなくなるのだ。
2015年11月、ビルマでアウンサンスーチー率いる国民民主連盟が勝利し、「民主化」がはじまったが、私のカレン人の友人はこう言っていたものだった。
「今のうちにビルマに行っておいたほうがいいよ、これから、いつまた閉じてしまうか分からないから」
私はこの言葉を聞くと、いつも「丸い輪の世界」を思い出した。ちょうど日本とビルマの間に「丸い輪」があって、それがいつかはなくなってしまうかのようだった。
私はちょっと笑い話のように考えていたのだが、今年の2月、その「丸い輪」が消えうせたのは周知の通りだ。