難民, 入国管理局, 東京入国管理局

おもてなさぬの品川入管記(4)

 私たちに渡された紙は2枚。いずれにも無慈悲なトラップが仕掛けられていたのであった。

 1枚目は次のようなものだ。

           質問票(Questionnaire)

質問:あなたはこれまでに、日本で難民不認定処分を受けたことがありますか。
(英語、フランス語、シンハラ語、ミャンマー語、ベトナム語、トルコ語、ネパール語、ベンガル語、インドネシア語、カンボジア語、中国語、ウルドゥー語、アラビア語、ペルシャ語の訳文)

       □はい      □いいえ
(英語、フランス語、シンハラ語、ミャンマー語、ベトナム語、トルコ語、ネパール語、ベンガル語、インドネシア語、カンボジア語、中国語、ウルドゥー語、アラビア語、ペルシャ語で「はい」「いいえ」)

◆注意事項(NOTICE)◆

事実ではない回答をした場合、すぐに難民認定申請を受け付けられないことがあります。
In case of false answer, your refugee application might not be accepted soon.

作成日              氏名
DATE:               NAME:

 これは要するに、一度不認定になった人が「再申請」するのかどうかの確認のための質問票だ。もちろん読めばわかる。だが、世の中には読んでもわからない人もいるし、慌てるということもある。もし、再申請にもかかわらず、うっかり「いいえ」にチェックをつけでもしたら、はいそれまでよだ。

 なるほど「すぐに難民認定申請を受け付けられないことがあります」程度の被害かもしれない。だが、この「すぐ」は、イエスの「神の国は近づいた」と似た、終末論的な色彩を帯びた「すぐ」だということに留意しておいたほうがいいだろう。つまり、やってこない可能性だってあるのだ!

 とはいえ、こんなものは大したトラップではない。入管神学者の言葉の遊びだ。入管としてもひっかかってくれたらラッキーぐらいなものだ。

 しかし、もう1枚の紙はといえば、そこから放たれる「頼む! ひっかかれ!」の圧のあまりの凄さに、私はひと目見ただけで、ぶるぶると震えだし、失禁し、そのまま気を失ってバタリと倒れたのでした!