難民

古いほうの収容ウイルス、長崎入管訪問(その12)

 仮放免手続きが終わって出てくるまでの時間は、入管の忙しさとか、被収容者の準備だとかに左右されるが、30分ぐらいだ。1時間はかからない。

 私がその間待っているように言われたのは、待合室だった。そこは、被収容者への面会を申請した人が呼び出されるのを待つ場所で、ベンチが置かれ、中央には書類を記入するための台が置いてあった。壁には、面会心得や様々な通知が貼られており、コロナに関するものもあった。私は、パソコンを広げるとそのうちのいくつかを書き写した。写真が撮れないので記録するためにはこうするしかないのだ。

 入力している間に、入管で働いている人々がやってきて傍の自販機でジュースを買ったり、休憩したりした。パソコンで記録していることを見咎められて、面倒なことになるのがいやだったので、そうした人々がやってくるたびに緊張した。しかし、壁の通知を写している者がいるなどと、いったい誰が考えよう。

 しかし、私にとってはこれは貴重な記録だ。入管の中の掲示物など、大して意味のないものだ。そんなものを入管だっていちいち保管していないに違いない。だから、もしかしたら、私の記録が、入管の掲示物の資料として、のちのち誰かの役に立つかもしれない。

 役に立つ!

 私も少しは誰かの役に立ちたいのだ。こんなバカバカしいことでもいいから。私は必死でキーを打ち続けた。

 6枚ほど写したところで、待合室の外の廊下から聞き覚えのある声が聞こえた。彼が出てきたのだ。

 彼、Kさんは私を見るや、うれしそうに近づいてきた。

 だが、私は通知の記録がまだ終わっていなかった! あと2枚! 私は「ちょっと荷造りしてて!」と、運んできたスーツケースを指さした。

 これじゃ、2年ぶりの再会も台無しだ。